「障害」当事者の視点からの要望や提言活動

新型コロナウィルス感染症の対策についての要望書の回答が、三重県から届きました。

新型コロナウイルス感染症の対策についての要望書の回答が、三重県から届きました。

 2020年4月27日付けで、ピアサポートみえから「新型コロナウイルス感染症の対策についての要望書」を三重県と三重県議会に対して提出し、2020年5月14日付で、三重県から回答がありました。

 

なお、三重県議会については、役員の改選などがあり、回答まではもうしばらく時間がかかる見込みです。

三重県議会からも回答が寄せられたら、また、ホームページに掲載する予定です。

 

要望書についての三重県からの回答について、詳しくは下記をご覧ください。

「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」の施行に伴う一時金請求手続きおよびその案内等に関する緊急申入書

 

 

2019517

 

 

 

三重県知事

 

 鈴木 英敬 様

 

             特定非営利活動法人ピアサポートみえ

 

       理事長 松田 愼二

 

 

 

     特定非営利活動法人 CIL・ARCH

 

  代表 畠中 忠

 

 

 

 

             公益財団法人反差別・人権研究所みえ

 

     理事長 前嶌 徳男

 

 

 

 

 

 

 

1948年制定の旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給に関し必要な事項等を定めた「旧優生保護法に基づく優生手術等 を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成31年法律第14 号。以下「法」という。)」が2019年4月24 日に成立し、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づき都道府県に交付する事務費に関する政令」(平成 31年政令第160号)及び「旧優生保護法に 基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律施行規則」(平成31年厚生労働省令第72 号)とともに、同日施行されました。

 

 この法律は、被害者の人権回復のための第一歩であり、国会議員が過去に向き合い、反省とお詫びの意を表明したことについて評価しています。これまで一切の謝罪や補償がなかった現実を考えれば、一時金の支給や調査を、国の責任で行うと明記されたことは大きな前進であるとも考えています。

 

 この法案に関する委員会質疑で、与党 WT 座長の田村憲久・元厚労大臣は、前文のおわびの主語として使われている「我々」に関して「主に旧優生保護法を制定した国会、法律を執行した政府を念頭に置いた」と述べています。このことをふまえた誠実な対応が、国会、政府はもとより、三重県においても求められています。

 

 この法律では、一時金の支給を受けようとする者の請求は、請求をする者の居住地を管轄する都道府県知事を経由してすることができるとされており、具体的な一時金の請求や相談を担う三重県の姿勢や対応は極めて重要であり、周知・広報における合理的配慮等も含めて早急に検討をしていただきたいと思います。

 

 以上の理由から、下記の通り緊急の申し入れさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

                                               記

 

 

 

 

 

. 三重県が広報紙やリーフレットなどを用いて、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」の施行について周知する場合には、診断書は必須ではないことを明示してください。また、請求書についても窓口における口頭での請求が可能であることを広く周知して下さい。

 

 

 

 理由 

 

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方々は、一時金の請求に際し、当時のことを思い出す必要があること等、心理的な負担となることはもちろん、受診に伴う肉体的な負担も伴います。手術後、長い年月が経過している今、医師の診断の結果が記載された診断書を取得することは困難であることが考えられます。このような理由から、「施行規則」第9条には、「厚生労働大臣は、特別な事由があると認めたときは、第1条第2項または第2条第2項に規定する書類の添付を省略させることができる」と書かれ、医師の診断書の添付を省略することができるとされています。

 

 しかし、厚生労働省が作成した「旧優生保護法一時金支給法に関するリーフレット」では、診断書の取得が難しい場合の対応が示されておらず、申請を諦めてしまう場合が多いと考えます。

 

 三重県が広報紙やリーフレットなどを用いて周知する場合には、診断書は必須ではないことを明示してください。

 

 また、請求書についても「施行規則」第7条では、請求書を作成できない特別な事情がある場合には、被害者の口頭陳述と職員の聴取による作成ができると定めており、窓口における口頭での請求が可能です。

 

 

 

 

 

.診断書の取得が難しく、「手術痕」による確認も難しい場合の対応について明らかにしてください。

 

 

 

 理由 

 

 三重県では、診断書の取得や提出が難しい場合、「手術痕」により確認されるとのことですが、古い傷でわからない場合や、放射線照射による不妊化措置などで傷が残っていない場合の対応についても明らかにしてください。

 

 

 

 

 

. 一時金請求について伝える書類(申請書やリーフレット類等)は、各広報資料の目立つ場所に置くようにしてください。視覚障害者や知的障害者にも情報が届くよう、ルビ付きのものや音声により確認が可能なテキストデータを用意してください。また、相談専用電話だけでなく、相談専用のFAXやメールも設置し、プライバシーにも配慮するようにしてください。

 

 

 

 理由 

 

 法第12条第2項において、「国及び都道府県は、一時金の支給を受けようとする者に対す相談支援その他請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする」とされています。

 

 

 

 

 

. 障害をもたない人、障害者手帳や療育手帳がない人にも被害者がおられるため、旧児童自立支援施設などの関係者にも、周知できる方法を模索してください。さらに被害者の多くが既に高齢であることから、高齢者の相談窓口、地域包括支援センター、介護支援専門員、高齢者施設生活相談員等にも周知してください。

 

 

 

 

 

. 「旧優生保護法一時金受付・相談窓口」の問い合わせ先を「子ども・福祉部子育て支援課母子保健班」から変更してください。

 

 

 

 理由 

 

障害者が強制不妊手術を受けさせられた問題に対する三重県の相談窓口は、母体保護法を担当している「子ども・福祉部子育て支援課母子保健班」が担っています。

 

 一時金の請求者は、不妊の手術をさせられた人たちです。にもかかわらず「子ども」の名称のつく担当課に問い合わせることは、請求者や相談者への配慮に欠けており、問い合わせ先の名前で、請求や相談を躊躇する方がいるのでないかと思います。

 

 

 

 

 

.「特定の疾病や障害を有すること等を理由として生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられるような事態を二度と繰り返すことのないよう」(同法第21条)との趣旨から、障害当事者も含めた第三者委員会を立ち上げ、母体保護法以降も続く強制不妊手術の実態も含めて、優生保護法被害の調査・検証を行ってください。

 

 

 

       以 上

 

「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給 等に関する法律」の施行に伴う一時金請求手続きおよびその案内等 に関する緊急申入書について(回答)

 

 

 

令和元年6月12日

 

 

 

 特定非営利活動法人 ピアサポートみえ

 

  理事長 松田 愼二 様

 

 特定非営利活動法人 CIL・ARCH

 

  代表 畠中 忠 様

 

 公益財団法人 反差別・人権研究所みえ

 

  理事長 前嶌 徳男 様

 

 

                                                                                 三重県知事 鈴木 英敬  

 

 

 

 

 

1.一時金の支給請求における診断書の省略及び口頭申請に関する周知について

 

心理的ストレスが大きいなど医療機関の受診が困難な場合に診断書が省略可能であることは、周知用のリーフレットに明記しています。また、旧優生保護法一時金受付・相談窓口に関する県のホームページにもその旨を明記しました。

 

  支給の可否は厚生労働省に設置される審査会において認定されますが、診断書が無いときはそれに変わる判断材料が必要と思われます。当時かかっていた医療機関や福祉施設等をお聞きし、県から調査を行うなど、申請者に寄り添った対応をして参ります。

 

  窓口での口頭申請についても、事情をよくお聞かせいただき、必要な場合は職員が申請を丁寧にサポートして参ります。  

 

 

 

2.診断書の取得や手術跡の確認が難しい場合の対応について

 

手術痕が古い場合や、放射線照射等により生殖が不能となる処置を受けた場合など、手術痕の確認が難しい場合も、手術等の経緯や確認が難しい事情を詳しく国に伝え、申請者に寄り添った対応を要請していきます。また、手術等に関する記録の調査をしっかりと行って参ります。

 

 

 

 

 

3.申請書等の配置、視覚・聴覚障がい者向け資料及び専用FAX等について

 

リーフレットは子ども・福祉部の入り口のわかりやすいところに配置しています。さらに、県庁1階の県民ホールにも配置しました。

 

また要望を受け、ルビ付きのリーフレットや音声コード付きのリーフレットを作成し、ワードファイルでもホームページに掲載しました。

 

なお、業務ごとに専用のFAXやメールを設置するのは困難ではありますが、個人情報の保護に関しては十分配慮して参ります。

 

 

 

4.児童自立支援施設や高齢者の相談窓口等への周知について

 

  県では、市町、保健所、福祉事務所、児童相談所、医療機関、障がい者支援施設、障がい者団体、介護サービス事業所、児童福祉施設及び児童自立支援施設等にリーフレットを送付し、周知を依頼しました。

 

また、聴覚障がい、知的障がい等の関連の深い団体には直接訪問し、案内や申請のサポートを依頼しました。

 

さらに、昨年3月に相談窓口を開設してから相談があり、連絡先を教えていただいた方には、全員に一時金支給法成立のお知らせと申請の案内を行いました。

 

今月の「県政だよりみえ」においても一時金受付・相談窓口の案内を掲載しており、今後も様々な機会を通じて周知に努めて参ります。

 

 

 

5.旧優生保護法一時金受付・相談窓口の問い合わせ先の変更について

 

  一時金支給法の所管は、厚労省母子保健課であり、県の担当課も直接関わりのある子育て支援課が担当するのが、円滑な事務のためにも適当と考えますので、ご理解ください。

 

  なお、相談窓口のホームページからは可能な範囲で課名を削除しました。

 

今後とも、窓口での電話対応時などで、できる限り「子育て支援課」の名称を使わないよう気を付け、当事者の心情に寄り添った対応を心がけます。

 

 

 

6.実態調査・検証について

 

  昨年、既に県内調査を実施したところであり、現時点では新たな調査は考えていません。今後、国において調査・検証を行う場合は、県も積極的に協力して参ります。